著者：とわの杜

葬儀で「お花代」を包むとき、どんな封筒を使い、いくらぐらいが適当なのか、迷っていませんか？

通夜や告別式で供花の代わりに金銭を渡すこの風習。香典との違いや、宗教・地域によるマナーの違い、そして表書きや名前の書き方まで、意外と知られていないルールが多く存在します。特に近年では家族葬や無宗教形式の増加により、葬儀の形式も多様化。選び方ひとつで「マナー違反」と見なされることもあります。

例えば、全国で見られるお花代の相場は三千円から一万円程度。ただし親族や会社関係など関係性によって金額は変動し、対応を間違えると相手方に誤解を与える恐れも。さらに、白封筒か不祝儀袋かで悩んだ経験がある方も多いのではないでしょうか。

読み進めるうちに、封筒の選び方や表書きの正解、香典との違いまで、安心して判断できるようになります。

知らずにマナー違反してしまう前に、一度正しい知識を整理してみませんか。葬儀という大切な場面で、あなたの想いをきちんと伝える準備をしておきましょう。

葬儀におけるお花代の意味と目的

お花代とは、葬儀の場で供花の代金として、あるいは香典の代わりとして渡される金銭のことを指します。一般的には「供花の費用」として用いられることが多いですが、地域や宗教、家庭の慣習によっては「香典の一部」や「香典の代用」として扱われることもあります。したがって、同じ「お花代」という言葉でも、使われる場面や意味合いが異なることがあり、誤解を避けるためにも正しく理解し、使い分けることが大切です。

まず、供花とは、故人に哀悼の意を示して供える花のことです。これらは通常、葬儀社や花屋を通じて手配され、祭壇の左右に飾られます。対して、香典とは、故人への弔意として遺族に金銭を渡す日本特有の慣習であり、具体的な用途は明記されません。お花代はその中間的な存在で、供花の代金を金銭で支払う場合、または香典の意味合いを含める場合にも使用される柔軟な表現です。

また、宗教や地域の違いにより、お花代に相当する言葉も異なります。たとえば仏教では「御仏前」、神道では「御玉串料」、キリスト教では「御花料」が一般的です。このように表書きにも注意が必要で、使用する宗教や場面によって適切な言葉を選ぶことが礼儀となります。

以下に、お花代と類似用語の意味と使用場面を整理した表をご紹介いたします。

用語	意味	使用場面	表書き例
お花代	供花費用または香典の代用	供花を出さない、辞退された場合など	御花料、供花料
供花	故人に捧げる花（実物）	葬儀祭壇に飾る	なし（花として）
香典	弔意を表す現金	通夜・告別式で遺族へ渡す	御霊前、御仏前
御花料	キリスト教などでのお花代表記	キリスト教式の葬儀など	御花料

このように、お花代という言葉には複数の意味があるため、その場の状況や相手の宗教・慣習を踏まえて使い分けることが大切です。遺族との関係性や葬儀の形式により最適な形でお花代を渡すことが、結果として一番の礼儀であり、思いやりの表現につながります。

葬儀で供花を出す代わりにお花代を渡すケース

供花を自分で手配することが難しい場合や、葬儀の形式によって供花を辞退されている場合には、供花の代わりにお花代を包むという選択肢があります。お花代は、弔意を伝える気持ちはそのままに、実務的にも簡便で確実な方法として、多くの方が選んでいます。

以下のような場面では、お花代を渡すことが自然と受け入れられています。

• 遠方に住んでいて、葬儀場に供花を届けることが難しい
• 家族葬や小規模な葬儀で「供花辞退」と案内されている
• 訃報を急に受け、供花を準備する時間がない
• 式場や斎場で供花の受け入れができない
• 法人・団体として弔意を示す手段として

このような場合、お花代を渡すことで、物理的に供花を届ける代わりに、気持ちをしっかりと伝えることができます。ただし、香典と同様に、マナーや渡し方には一定のルールや配慮が求められます。たとえば、家族葬などで「香典や供花はご遠慮ください」と案内されている際には、お花代を無理に渡すべきではありません。そのような場合には、後日改めて気持ちを伝える方法や、お悔やみの言葉だけに留めるのが適切です。

具体的な封筒や渡し方については、以下のような対応がよく見られます。

シーン	推奨される封筒	表書き	補足事項
供花辞退の家族葬	白無地封筒	御花料	地味な封筒が望ましく、水引は不要
遠方から郵送する場合	現金書留専用封筒	御供花料	封筒内に一筆添えるのが望ましい
法人・団体で渡す場合	社名入り封筒	供花代／御花料	社名や役職名を封筒に明記する

金額の相場については、供花として用意する場合と同程度か少し控えめな金額が適切とされます。地域差もありますが、一般的には5,000円から10,000円程度が多く見られます。ただし、これはあくまで目安であり、大切なのは金額ではなく、故人やご遺族への思いやりと配慮の気持ちです。

お花代を渡す際のマナーとしては、以下の点にご注意ください。

• 香典とお花代を両方渡す場合は、封筒を分けて明確にする
• 遺族が混乱しないよう、受付時に「供花の代わりに」と一言添える
• 表書きは相手の宗教に合わせた適切な表現を使用する
• 無理に渡すのではなく、辞退されている場合はその意向を尊重する

このように、供花を出す代わりにお花代を渡すという行為は、合理的でありながらも、相手への思いやりが感じられる方法です。供花が難しい状況にある方にとっては、弔意を正しく丁寧に伝えるための選択肢の一つとして、非常に有効な手段といえるでしょう。ご自身の立場や状況に合わせて、心を込めた対応をされることをおすすめいたします。

お花代の封筒マナーと書き方完全ガイド

白封筒？不祝儀袋？選び方と購入場所

お花代を渡す際には、封筒の選び方一つで印象が大きく変わります。香典袋と似たような使い方をされるお花代ですが、実は使用すべき封筒の種類や購入場所、金額や渡す場面によって使い分けるのがマナーとされています。この記事では、初めてお花代を用意する方でも迷わず選べるよう、封筒の種類ごとの違いや用途別の選び方、購入場所まで詳しく解説いたします。

まず基本として、お花代に用いられる封筒は、大きく以下の2種類に分かれます。

封筒の種類	主な用途	表書き例	使用シーン
白無地封筒	非宗教的、シンプルな場面	お花代、御花料	家族葬、供花辞退の際、遠方での送付時など
不祝儀袋	仏教・一般葬向け	御供花料、御花料	通夜・告別式の場で直接渡す、参列時

白封筒は、近年増加している家族葬や小規模な葬儀、または香典や供花を辞退されている葬儀において特に多く用いられています。表書きも「御花料」「御供花料」「お花代」など、簡素かつ丁寧な言葉を選び、失礼のないように記入します。反対に、不祝儀袋は仏式葬儀で一般的であり、香典と同じく水引が施されているものが主流です。

金額に応じて封筒を使い分けることも推奨されており、以下のような基準が参考になります。

金額帯	推奨封筒	理由
3,000円以下	白無地封筒	簡素で控えめな印象が伝わる
5,000円〜10,000円	不祝儀袋または白封筒	関係性により選択、遺族の意向に応じて判断
10,000円以上	不祝儀袋	しっかりとした体裁が求められる

購入場所についても、以前は文具店や百貨店が主流でしたが、現在では以下のように多様化しています。

1. コンビニエンスストア（白封筒や簡易香典袋が入手可能）
2. スーパーやドラッグストア（地域密着型で宗派に合った不祝儀袋も）
3. 100円ショップ（基本的なものは揃うが、水引の色や書き方に注意）
4. Amazonや楽天などの通販（宗派別や金額別に検索可能、予備にも最適）

注意点として、購入した封筒にすでに表書きが印刷されている場合、その言葉が適切かどうか確認が必要です。例えば、「御霊前」は仏教以外では使えないため、キリスト教式や神道式の葬儀では避けましょう。また、「御仏前」は四十九日以降で使う表現のため、通夜や告別式には不向きです。

また、以下のような封筒の選び方に関する疑問を持つ方も少なくありません。

• 香典と同じ封筒でいいのか？
• 市販のものを使っても失礼にならないか？
• 白封筒は地味すぎないか？
• 水引の色は何を選ぶべきか？

これらの疑問には、それぞれ明確なマナーが存在します。香典とお花代は本来目的が異なるため、同じ封筒を使用するのは避けるべきです。また、白封筒であっても薄墨で丁寧に書かれていれば、失礼には当たりません。水引は仏教葬儀では黒白、関西圏などでは黄白が一般的とされているため、地域性にも配慮が必要です。

封筒選びの際には、遺族の意向を最優先にしつつ、最低限のマナーと配慮をもって準備することが、弔意をきちんと伝えることにつながります。どんなに丁寧な封筒であっても、気持ちがこもっていなければ形式だけになってしまいます。金額や見た目ではなく、思いやりある準備こそが、故人と遺族への最上の礼儀といえるでしょう。

封筒の表書きと名前の書き方

お花代を包む際の封筒には、外見のマナーだけでなく、表書きや名前の書き方にも注意が必要です。特に香典とは異なり、「供花代」「お花代」として渡す場合は、使用する表現や記載方法に少し違いが出てきます。この項目では、個人で渡す場合、複数名での連名、そして会社や団体として渡す法人名義のケースに分けて、正しい書き方と実例を解説いたします。

まずは、最も基本となる個人名義での書き方からご紹介します。

1. 表書きは「御花料」「御供花料」「お花代」とするのが一般的です。
2. 名前は表書きの下中央にフルネームを薄墨で記載します。
3. 住所や電話番号は封筒の裏側、または中袋に記入するのがマナーです。

表書きに適した表現は以下のようになります。

宗派	表書き例	注意点
仏教	御供花料、御花料	「御霊前」は宗派により使用可否が異なる
神道	御玉串料、御榊料	「供花」という表現は不適切
キリスト教	御花料	「御霊前」「御仏前」は使わない
無宗教	お花代	地域や家族の意向に合わせて柔軟に使用可能

連名で渡す場合は、次のような書き方が求められます。

• 2名の場合：中央に2名分のフルネームを並列で記載します。
• 3名以上の場合：代表者の名前のみを記載し、「他一同」「有志一同」と添えます。
• 代表名義の下に中紙や別紙で全員の名前を記載する場合もあります。

法人名義で渡す際は、次のポイントに注意します。

• 表書きは通常通り「御花料」などで構いません。
• 名前欄には「株式会社○○」や「〇〇株式会社 営業部一同」などを記載します。
• 社判（社名のスタンプ）があれば、それを封筒表面の左下に押すのが一般的です。

誤解を避けるためには、以下のような表記ルールも守るようにしましょう。

• 筆ペンを使い、薄墨で丁寧に書く
• 略字や略称を使わない
• 水引のある封筒の場合、名前の位置は結び目の下に揃える

また、裏書きに関しても意外と見落としがちです。封筒の裏側には以下を記載するのが基本です。

• 郵便番号
• 住所
• フルネーム（必要があればふりがな）
• 電話番号

これにより、遺族が誰からのものかを正確に把握でき、返礼などの手続きも円滑に進みます。特に香典返しやお礼状の送付を希望される場合は、この情報が非常に重要です。

まとめ

葬儀における「お花代」は、供花の代わりとして金銭を包む日本独自の習慣でありながら、その扱いは地域や宗教、遺族との関係性によってさまざまです。

地域によっては家族葬や無宗教葬が主流となりつつあり、供花そのものを辞退されるケースも少なくありません。その際、お花代をどうするかは非常に繊細な問題です。

封筒は白封筒か不祝儀袋のどちらを選ぶか迷う方も多いですが、香典と混同されやすいため、封筒に「御花代」または「供花料」と明確に記すことが大切です。特に封筒の表書きや名前の書き方に不安を感じている方は多く、個人であれば縦書き、法人や連名であればバランスよく整えて記入することでマナー違反を避けられます。

知らずにマナーを逸してしまえば、ご遺族に不要な誤解を与える可能性もあります。しかし、この記事を通して基本的な知識と具体的な対応方法を理解することで、葬儀という場にふさわしい形で「心を添える」ことができるようになります。

迷いや不安の多い「お花代」のマナーですが、正しく理解して準備をしておけば、あなたの気持ちはきっと届きます。葬儀という大切な場面で、思いやりある行動ができるよう、今このタイミングで知識を深めておきましょう。

よくある質問

Q.香典とお花代を同時に渡すのはマナー違反でしょうか
A.香典とお花代は本来別の意味を持つため、重ねて渡すこと自体はマナー違反ではありません。ただし、葬儀社やご遺族によっては供花を辞退されている場合もあり、事前に確認することが大切です。封筒には表書きとして「御花代」「供花料」と明記し、香典と混同されないようにするのがポイントです。両方を包む場合は、それぞれを別の封筒に入れて持参しましょう。

Q.お花代の封筒は白封筒でも問題ないのでしょうか
A.お花代を包む際には不祝儀袋が一般的ですが、家族葬や宗教によっては白封筒を使用しても問題ありません。特に供花の代わりに金銭を渡す場合、無地の白封筒に薄墨で「御花代」と書くのが基本とされます。ただし、香典との混同を避けるために表書きを明確にし、名前も縦書きで記入するなど、マナーに沿った書き方を心がけましょう。

Q.供花を辞退された場合、お花代を渡すのは失礼になりますか
A.供花を辞退された場合でも、お花代をお悔やみの気持ちとして包むのはマナー違反にはなりません。ただし、形式にとらわれずご遺族の意向を尊重することが最も大切です。辞退の理由がスペースや宗教によるものであれば、現金での表現も配慮不足と見なされる可能性があります。その場合は、後日お悔やみの言葉を添えた手紙を郵送するなど、柔軟な対応が望まれます。葬儀社への事前確認が安心につながります。

会社概要

会社名・・・とわの杜
所在地・・・〒293-0057  千葉県富津市亀田543
電話番号・・・0439-66-0007